核兵器のない世界を

 オバマ大統領による「核兵器のない世界」追求の宣言と世界の変化に大きくたち後れる日本政府の姿勢。

 熊谷革新懇主催の学習会(6月21日午後)に参加しました。講師は埼玉県原水協理事長の吉野良司さん。

 講演を聞いて、世界が大きく変わりつつあり、その中で、「核兵器のない世界」の追求を国家目標とするとのアメリカ・オバマ大統領の画期的な宣言がなされたこと、こうした世界の大きな変化に対して、アメリカの「核の傘」への依存姿勢を取り続ける日本の大きなたち遅れが際立っており、来年春の国連「核不拡散条約(NPT)再検討会議」にむけて「核兵器のない世界を」の署名運動を強め世論を結集して、日本政府が核兵器廃絶の国際交渉の先頭に立つよう求ることが重要であることなどを学びました。(管理人)

 吉野さんの講演から(印象に残ったこと)

1 大きく変わりつつある世界
    
 軍事でも経済でもアメリカ1国の覇権が終わろうとしており、平和と繁栄をめざす国際的共同という新しい世界秩序への流れが大きく広がりつつある。

 
特に、「アメリカの裏庭」と言われてきた中南米で大きな変化が起きている。
 08年12月、ブラジルのサルバドルでアメリカとカナダを除く南北アメリカ大陸の33カ国が、初の「中南米・カリブ海諸国首脳会議」を開催。国家同士の主権の対等平等、紛争の平和的解決、領土保全の尊重、国家の内部問題不干渉を含む国連憲章の諸原則の尊重に基づき、より公正、平等で、調和のとれた地域共同体づくりをめざすことを宣言。

 
さらに09年6月3日、南北米州35カ国で構成する米州機構(OAS)の年次総会がホンジュラスのサンペドロスラで開催され、1962年以来除名していたキューバの復帰を認める決議を全会一致で採択。米国も各国と対等なパートナーシップを作ることを約束した。

 
ASEAN(東南アジア諸国連合)を中心とする東南アジア友好協力条約(TAC)にはEU(欧州連合)が加入し、米国も加入の見通しで、独立・主権・平等・領土保全と主体性の相互尊重、内政不干渉、紛争の平和的手段による解決と武力による威嚇または武力の行使の放棄などを「基本原則」とするTACの加入国は52カ国、人口は世界人口の68%になろうとしている。

2 核兵器をめぐるアメリカの大きな変化

 
核兵器に関してオバマ大統領が4月5日にプラハで演説
 
 
(1)米国の大統領として初めて「核兵器のない世界」を追求することを国家目標とすると宣言し、
 (2)核兵器を使用したことのある唯一の国として、広島・長崎への核兵器使用が人類的道義にかかわる問題であると表明、その立場から「核兵器廃絶にむけて行動する道義的責任がある」と述べ、
 (3)「核兵器のない世界」の実現にむけて世界に協力をよびかけた。

 
核兵器保有5カ国の核保有を容認しているNPTであるが、第6条で、締約国が「誠実に核軍縮交渉を行う義務」を規定。95年の会議で、この条約上の義務を再強調する最終文書を採択し、2000年の会議は最終文書で「核兵器の全面廃絶に対する核兵器保有国の明確な約束」をうたった。

 しかし05年の会議では米国のブッシュ政権が核保有国の「約束」を否定、なんらの合意もないまま終了した。 

 
今年5月、ニューヨークの国連本部で開かれた核不拡散条約(NPT)再検討会議の準備委員会で、来年の再検討会議の議題案を全会一致で決定。その中に、「核兵器の全面廃絶に対する核兵器保有国の明確な約束」をうたった2000年の再検討会議合意文書を踏まえたNPTの運用見直しが含まれている。「非核地帯」の論議を議題とすることでも一致した。

 
この準備委員会では米国の国務次官補が、「核兵器のない世界という平和と安全の追求」を訴え、「米国がNPTの約束を果たす」とするオバマ大統領のメッセージを読み上げた。

3、オバマ大統領の宣言を生み出したもの

☆ 長年の原水爆禁止運動をはじめ核兵器廃絶を求める世界の世論が土台。

☆ 07年1月の、キッシンジャー、シュルツ、ペリー氏らアメリカの元政府高官が論文「核兵器のない世界を」を『ウォールストリートジャーナル』誌に掲載。イギリス、ドイツ、オーストラリアなどアメリカの同盟国首脳にも賛同が広がる。

 アメリカの世論調査で「核兵器反対」が73%の調査結果もあり、08年のアメリカ大統領選挙ではオバマ氏だけでなく全候補者(7人?)が核兵器をなくすことを選挙の公約に掲げた

☆ 08年国連総会での「核兵器廃絶を求める決議」(賛成166、反対5)123カ国が参加する非同盟外相会議での同様の決議、潘基文国連事務総長の「核兵器なき世界の実現に努めよう」発言など、国際社会の圧倒的多数が核兵器廃絶を求めている。

4 世界から孤立する日本政府の姿勢

 世界が平和と繁栄をめざす国際共同を真剣に追求し、核廃絶に向かって進むなか、麻生首相はいち早くオバマ大統領を訪問して、引続き日本をアメリカの「核の傘」のもとに置くことを要請し、米軍再編への協力を約束した。

  国連総会でも日本政府は,非同盟諸国が提出した「核弾頭の質的改良,開発,生産,貯蔵の即時停止」決議やマレーシアなどが提出した「核兵器の威嚇と使用の適法性に関する国際司法裁判所の勧告的意見の追求」決議に棄権するなど、日本政府は核廃絶を中心にすえていない。唯一の被爆国である日本政府の姿勢が問われている
                                                           

資料 オバマ演説
 

“核兵器のない世界を” への1件の返信

  1.  出張でしばらく留守にしていましたが、このブログも7月の書込みがゼロで、お留守のようですね。元校長問題は、その後どうなったのでしょうか。

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